
遺品整理の出張かたづけ隊です!
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さて、本題ですが今回は『セルフネグレクト』についてお話しさせていただきます。
一度は耳にしたことがあるかと思います。子どもの虐待が社会問題となり、ネグレクトという言葉が浸透しましたが、今新たに注目されているのが「セルフネグレクト」という言葉です。
このセルフネグレクト、成人した方ならば若い方からお年寄りまで、幅広い方が陥るリスクがあり、最悪孤独死を引き起こす恐れもある状態を指した言葉なのです。
そこで今回は、ぜひ知っておきたいセルフネグレクトについて、解説します。
●セルフネグレクトとは
セルフネグレクトを辞書で調べてみると、
「成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。」
とあります。(デジタル大辞林より引用)
成人した人が通常の生活を維持するにあたっては、必要最低限の衣・食・住を整える必要があります。
しかし、セルフネグレクト状態になると、どんなに服が汚れていて、たとえ異臭を放っていたとしても同じものを着続ける。食事をほとんど取らない。家がゴミ屋敷状態になる、といった、生活する上で行うべきことを行わず、放棄してしまいます。
子どもの育児や親の介護を放棄する「ネグレクト」という言葉がありますが、セルフネグレクトは、まさに「自らを放棄してしまっている状態」であるといえます。
セルフネグレクトはこれまで高齢者が多いとされていましたが、30代から40代といった若い世代であっても、セルフネグレクト状態から孤独死に至ってしまったケースが報告されるなど、成人した方ならば、どの年代であってもリスクがあることがわかっています。
まさにセルフネグレクトは成人した方なら誰もが陥る可能性がある、社会的な問題であるといえるのです。
●セルフネグレクトの症状
なんとなくやる気がなくて、掃除もせず、気が付けば一日ぼーっと過ごしてしまう。そんな不調や抑うつ気分が現れることは、健康な成人であっても起こりうることです。
では、セルフネグレクト状態になると、どうなってしまうのでしょうか。
厚生労働省が提示している「セルフネグレクトのサイン」は、以下の通りです。
≪セルフネグレクトのサイン≫
□単身生活の人が、痩せて食事をしていないようであったり、身体や衣
類の清潔が保たれていない
□昼間でも雨戸が閉まっている
□窓ガラスが割れたまま放置されている
□電気、ガス、水道、電話が止められたり、家賃の支払いが滞っている
□郵便物がたまったまま放置されている
□野良猫のたまり場になっている
□近所の人や行政が相談に乗ろうとしても、「いいよ、いいよ」「放っ
ておいてほしい」と頑なに遠慮したり拒否しあきらめの態度が見られ
る
引用元:市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対策(平成26年12月版)
一時的な抑うつ状態であれば、家に引きこもるのは長くても数日程度ですが、セルフネグレクト状態になると、それが長期化します。
そのため、電気等のライフラインや家賃の支払い等すら行うことができず、周囲が助けの手を差し伸べようとしても、拒否ではなく「回復することを放棄」してしまいます。
家がゴミ屋敷状態であることを例に考えてみましょう。
ゴミ屋敷状態であることに対し、「この状態は自分にとって良い状態とは言えない」と思っている間は、「なんとかしなくては」という、掃除に対する意欲があるため、まだセルフネグレクト状態であるとは言えません。
一方、「もうどうなってしまってもいい」と、良い状態にしようとすることをあきらめ、放置してしまっている場合は、自分自身を放棄していることが考えられ、セルフネグレクト状態である、といえます。
●セルフネグレクトの原因
高齢者だけにとどまらず、成人した方ならば誰しも陥る可能性のある、セルフネグレクト。
生きる上で欠かすことのできないことですら自らを放棄してしまうような状態に、人はなぜ陥ってしまうのでしょうか。
主な原因を探ってみました。
●孤立
孤立というと、家族や会社、地域社会と関わりを自ら断ってしまった状態、そう思った方もいらっしゃるでしょう。
高齢者においては、確かにそういったケースが多いのですが、若い方の場合、この孤立が「過度な仕事」によって孤独が引き起こされるケースもあります。
朝早くから夜遅くまで仕事。
友人たちからお誘いを受けても、仕事を理由に断り続けたことで、次第に疎遠になっていく。
親から電話をもらっても、心配をかけたくない、という思いからいつも通りにふるまってしまい、本当は辛いという弱音を、家族にも友人にも、誰にも吐くことができない。
こうして何もかも仕事によって支配され、それまで自分が積み上げてきたコミュニティから孤立してしまうことでも、セルフネグレクトを引き起こすリスクは高まってしまいます。
●身体機能の低下
生活を維持するために行う、掃除・料理・洗濯。
身体機能が低下することで、これらを行うことが難しくなってしまうケースもあります。
自分で行うことが難しくなったとき、周囲に助けを求め、適切なフォローを受けることができれば、まだセルフネグレクトが起こるリスクは低いといえます。
一方で、身体機能の低下に加えて先ほどあげた孤立状態であることや、適切なフォローを受けることができないと、生活を維持するための掃除・料理・洗濯をやりたくてもやれない、という状態から、徐々に、「もうやることは無理」というあきらめが勝ってしまい、セルフネグレクトを引き起こすリスクは高まります。
●認知症、精神疾患などによる判断力の低下
本来行わなくてはいけないことが、行えなくなってしまうセルフネグレクト。
これは、認知症や精神疾患などによる、判断力の低下によっても起こり得ます。
認知症の場合は、徐々に、自分が何をすべきなのかの判断がつかなくなってしまいます。
そのため、たとえば着替えをしなくてはいけない状態なのに、その判断ができないが故に着替えをしなくなってしまうのです。
また認知症以外にも、精神疾患によって判断力が低下してしまい、結果としてセルフネグレクトに陥ってしまうケースもあります。
●経済的困難
生活を維持していくためには、必要最低限の経済力が必要です。
しかし、経済的困難となってしまうことで、生活の維持すら難しくなってしまうケースもあります。
このとき社会へ助けを求めることができれば、生活保護等の支援を受けることができますが、助けを求めることができないと、経済的困難がさらに加速してしまい、セルフネグレクト状態に陥ってしまうリスクは高くなります。
●孤独死との関係と対策
一人暮らし世帯の増加に伴い増えている、孤独死。
2011年にニッセイ基礎研究所が行った調査によると、孤独死をした方のうち約80%の割合でセルフネグレクトと考えられる事例が含まれていたことがわかっています。
よって、セルフネグレクト状態である方を早期に発見し、介入することができれば、約80%の孤独死は防げる可能性がある、ということがいえます。
では、セルフネグレクト状態である方を助け、孤独死を防ぐためには、どういった支援が必要となるのでしょうか。
●自治体などの取り組みと支援
セルフネグレクト、そして孤独死に対し、いち早く取り組んでいるのが「東京都」です。
東京都福祉保健局では「高齢者等の見守りガイドブック」を作成し、行政と地域住民、双方が協力してセルフネグレクトおよび孤独死を防止する取り組みを進めています。
東京都以外の自治体も、セルフネグレクトおよび孤独死への対策を進めています。
先ほどの調査では、各自治体へどのような対策を行っているかも調査しています。
その結果を見てみると、最も多い対策が「訪問(36.0%)」、次いで「介護予防(20.4%)」「見守り・声掛け(18.1%)」と続いています。
訪問は、民生委員や保健師等自治体の職員が行っている自治体の他に、地域ボランティアへ依頼している自治体もあり、自治体によって対策にばらつきがあります。
また、自治体で行う支援については、対象者から拒否されてしまい、それ以上の介入ができない、個人情報保護の観点から詳しい情報を地域住民へ提供できない等の課題も多く、自治体として関われることは限られてしまっているのが現状です。
地域包括センターとは
地域包括支援センターは、市町村に設置された、住民の健康や生活の安定のために必要な支援を行う施設です。
主な業務は介護予防支援および包括的支援であるため、セルフグレクトや孤独死を防止するための対策も、主に地域包括支援センターが関わっています。
職員には保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員が配置されており、それぞれの専門性を生かし、より住民のニーズにあった支援が行えるよう、考慮されています。
●周囲ができること
では、セルフネグレクト状態である方を助けるために、周囲ができることはなんでしょうか。
それは、「セルフネグレクト状態となってしまった場合、周囲の人々が団結し、拒否等があったとしてもその場から救い出す行動力を持つこと」です。
セルフネグレクト状態となってしまった場合、本人は全てにおいてあきらめの気分が勝るため、どんなに援助を行おうとしても拒否してしまいます。
このとき、周囲は本人の意思だからと拒否を受け止めるのではなく、その場から救い出すために、周囲の人々が協力し、ゴミ屋敷化した部屋を片付ける、身体を清潔にする、等の援助を行うことで、本人の「やる気」を引き出すことが大切です。
これらの行動は、一人で行うことはできません。
周囲の方々のセルフネグレクト、そして孤独死を防ぐためには、家族や地域社会におけるコミュニティの構築が、何より重要となるのです。
●まとめ
近隣の方はみんな顔見知りだった時代から、隣に誰が住んでいるかもわからない時代へなりつつある今。
自ら生活を放棄するセルフネグレクトは、まさに時代の変化が生みだした、新たな社会問題といえます。
とはいえ、セルフネグレクト状態である方を救うために周囲が行動を起こすことは、並大抵のことではありません。
この記事が、セルフネグレクト問題を考えるきっかけになれば幸いです。
参考にしてみてください ( ´∀` )
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